パケット通信
パケット通信(パケットつうしん)とは、端末からのデータをPAD(Packet Assembly Disassembly)でパケットに変換して伝送し、交換設備の記憶装置に蓄積し、中継伝送路の空いている時間に送り出し、受信側の交換機の記憶装置に蓄積された後送出され、PADで元のデータに変換され相手先の端末に届く通信方式である。蓄積交換(通信方式)とも呼ばれる。
パケット通信は、アメリカ空軍のシンクタンク、ランド研究所のポール・バランと、イギリス国立物理学研究所のドナルド・デービスによってほぼ同時に理論の提唱が行われた。バランの最初の内部提示が1962年、最終的な提案は1964年である。一方デービスは翌1965年に理論の公表を行っている。
2人の研究は理論としてはほぼ同じであるが、開発経緯とその背景にあった条件は大きく異なる。バランの提唱は「核戦争下」での通信の生き残りであり、デービスに関しては通信の品質改善が目的であった。1961年に空軍から核戦争下での通信手段の生き残りを検討するように依頼を受けた。これを受けてバランは「破壊された通信施設」を用いる事を前提条件として「中央ノードを設けない」「情報をデジタルに置き換える」「データを1024bitのかたまりに小分けする」「データはどういう経路を辿っても構わない」などを骨子とする論文を示した。これがOn Distributed Communications Networks.(「分散型コミュニケーションネットワーク」)である。実際に核攻撃下に晒された場合どの程度のサバイバル性が認められるかについては議論の余地がある。一方でデービスは将来的に予想されうるトラフィックの増大、通信されるデータの品質向上などを視野に入れ、これに適した通信方法を模索したが、驚くべき事に、たどり着いた結論はバランのそれと同じであった。唯一デービスがこの通信方式に独自の特徴を残した点があるとすれば小分けされたデータに「小包」を意味する「パケット」と言う名前を与えた点にある。
バランの研究は空軍に採用されず、長い事忘れ去られていた。一方でARPANETに対して「パケット通信」と言う通信手段を提供したのはデービスの研究である。
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